夜船閑話を読んでみる
夜船閑話という読み物の中で、白幽子という仙人に語らせている内観、軟酥の法というのは、主に中国医学の基礎医学的な部分。またその基礎医学以前の自然哲学から始まる東洋哲理などのとてつもなく膨大な中国三千年の文化を、子供が喜ぶ絵本でも読み聞かせる様に白隠さんは易々と楽しげに表現してくださいました。それがこの夜船閑話の凄さでもあり怖さでもあります。
誰がいつの時代に読んでも楽しめる。それが江戸時代の町人や百姓たちでも、名だたる藩の大名様でも、平成、令和の私達だとしても、皆すんなりと合点がいってしまう。そんな不思議な読み物になっています。
中国三千年の歴史が生んだ、中国医学は、この悠久の時を経て、中国三大思想。儒教、道教、仏教の影響を受けながら熟成されてきました。
中国古典の代表的な文献には、易経があります。易とは変化という意味があります。俯瞰して見れば中国の歴史は、政治も、思想も常に変化してきました。
易経は、時代と共に、儒教文化の中で尊ばれ、また、道教的にも親しまれ、仏教者にも愛されて今日いよいよ世界中で読まれています。
それと共に、医学書の古典は黄帝内経です。黄帝という架空の帝王と、その方が師と仰ぐ岐伯との間で問答形式で繰り広げられる陰陽五行の中国医学の解説書で、原点に位置づけられる古典です。
しかし、これらの古典を読みこなし自らの生活に生かす事は容易ではありません。
白幽子の話には、易経や黄帝内経のわかりにくいはずの理屈が、何故か身近で実用的に面白くかかれてかます。
病気の成り立ちや、状態を易の八卦になぞらえて説明していますが、それによって、小難しいだけの学問が、生命力のある生活の指南書になっています。
本文は短い文章ですが、白隠マジックが、全編にわたって施されています。
そんな、わかりやすさとは裏腹に膨大な内容を有する夜船閑話を味わい深く読みこなすのに、手助けになる本を紹介します。
健康法としても、禅の理解からも、学問的研究としても参考になる本が新井荒雄さんの『夜船閑話』白隠禅による健康法
です。
新井荒雄さんは
仰臥禅(ぎょうがぜん)という心身の健康法を確立し昭和から今日にかけての白隠研究の草分的存在です。仰向けに寝転んで行う呼吸法として内観の法を紹介しています。
荒井荒雄著
夜船閑話 白隠禅による健康法
大蔵出版
もう一冊、現代医学の病理や生理をも交えて健康法としての夜船閑話を三枚おろし?しているのが、この本です。
木村弘昌著
医僧 白隠の呼吸法
「夜船閑話」の健康法に学ぶ
です。
ドクターであり、禅の修行者でもある作者は内観の法による呼吸法の心身に及ぼす効果を徹底的に研究していす。
とくに、ひさご丹田呼吸法なる健康法を夜船閑話から学ばれたのだと思います。
ブログ著者は、白隠禅師を『医僧』としているところを嬉しく思います。
さて、おんなじ夜船閑話をヒントにしているにもかかわらず、新井荒雄さんは、寝てやる禅だと、仰臥禅を世に問い。
木村弘昌医師は、ひさご丹田呼吸法を導き出されています。
そして今回観世音体育のわたくし、あえて怪しげなペンネームで申し上げれば、やたらくたろうめは、かんぜーおんとか唱えながら、足踏みするとか、気功体操をするとか、何言ってんだか分からない人には全くもって、ちんぷんかんぷんなこと言って世間を騒がせています。まだ世間を騒がせる程に読まれてないけど、このブログ…。
でもそれって仕方ないんです。
みんなそれぞれ表現なんて自由です。
問題は白隠さんが詰め込んだこのとてつもない世界をどれだけ楽しく自分のものにしているかが大切です。
また、方法に関してはこの夜船閑話の中には事細かに書いてあるわけではありません。
寝てやるものだともとれますし、
座禅のように坐してやるのも正しいと思います。
立ち上がり、歩き出す。これは人類の進化の過程においても、夜船閑話の解釈においても必然だった気がするのです。(笑)
次回から、実践編ですよ~。
いよいよ観世音体育第2部
五観の法の具体的動きを説明していきます。