観世音体育の会

白隠さんが教えてくれた誰でも出来る健康生活

No11.五観の法[真観清浄観]

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"五観の法"実践その1をNo.10でご紹しました。

夜船閑話(やせんかんな)の中で、白幽子が語っている内観軟酥の法を超次元レベルでアレンジしたのが"五観の法"です。

もはや別ものと見るむきもあろうかと思いますが、筆者の中では、ピタッと白隠さんの世界に寄り添っているつもりです。

 道の世界で言うところの"守破離"を持ち出して語るとすれば、"離れたりと言えどもその元を離れず"のたとえの如くです。

 

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 過日、茶飲み話で、禅宗の偉いお坊さん(ある老師さま)に聞いたことを書いてみます。あくまで茶飲み話の事なのであしからず。

 

臨済禅の修行者は公案という問題をお師家様(修行道場の指導者、老師さまのこと)からいただいて四六時中その公案に取り組みます。白隠さんは、隻手音響(せきしゅおんじょう)片手の音を聞いてこいーっていう公案を自分で作って修行者を絞り上げていました。

その事を持ち出して、わたくし如きが、己が分際もわきまえないで、「老師さま、白隠さんは偉いお坊さんには違いはないが、ちょっと図々しいですね。だって公案みたいなもんまで自分で作るなんて図々しいと思いませんか。」

と、思ったことはなんでも口に出さないと気が済まない、血液型がB型で生まれた星が双子座で、九紫火星の鉄板問題人間のわたくし、本当に図々しいのはこういうやからであること間違いない訳ですが、上記のような発言を、こともあろうに、老師さまのような立派な方に面と向かってしてしまいました。

するとその老師さまは静かにお答えくださいました。

「公案なんてもんはいくらでも作ろうと思えば作れるもんです。そんな事はどうでもいい事だよ。それよりもだ…」

だそうです。たくさん修行して来た人にしか分からないことがありそうだと感じました。白隠さんとこの老師さまにはその事がわかっているのでしょう。

 

 

何故こんな話しを書いたかといえば、この夜船閑話も白隠さんの公案なのかなぁ?と思ったらからです。

じつは、前にも書きましたが、この夜船閑話は、内観軟酥の指南書のていではありますが、具体的な方法に関しては、どうとでも取れそうな曖昧な表現がけっこうあります。

"もしこの秘要を修せんと欲せば、云々、まず須く熟睡一覚すべし"

のところなんかは、一休さんのアニメみたいに、なるほど何をするにしても、『慌てない慌てない、ひと休みひと休み』と言う事だよな。とわたくしは解釈しました。

軟酥の法は、頭上の軟酥が身体中に溶け行って、心身を潤おす描写の捉え方に各人大差はないと思います。

問題は、内観の法のクライマックス部分です。

そもそも内観の法の内観とは一体なんでしょう?なかなか手ごわいテーマになってきました。

ご承知願いますが、わたくしやたらくたろうめは、僧侶にして、鍼灸接骨院の経営者です。白隠さんのファンであり、医僧的スタンスに強いあこがれを感じていますから、いろいろ白隠さんに関わる書物を読んだりもしていますが、学問的研究者ではありませんから、夜船閑話の読み方において、読者様にはより正確な情報をお伝えしなければいけない時と、思いっきり自分流を押しつけさせていただく時をちゃんと分けてお話ししていきたいと思います。

まずは、資料に基づいて、お話しします。

資料は、禅文化研究所の白隠禅師法話全集第四冊 『夜船閑話』訳注・芳澤勝弘

です。

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文中で語られる内観の注釈には、

内観=ここでは「観心」ではなく道家修養の法のことをいう。身体内の気血の循環はたらきを感想し、それを活性化させること。

とあります。

そして、重要なのはその内観の中味だと思うのですが、ここは夜船閑話の解説本によって、いろいろ違いがあるので、上記の禅文化の芳澤勝弘著、"夜船閑話"の現代語訳に頼ることにします。

(現代語訳)

「〈前文あり〉まず(仰臥して)目をつむって、しかも眠り込まないで、両脚を強く踏みそろえるように長く伸ばして、身体中の元気をして臍輪、気海、丹田、腰脚、そして足心(つちふまず)に充たすようにする。そして次のような感想をするのである。

〈この気海丹田、腰脚足心が我本来の面目である。その本来の面目はどのような面貌であるか。この気海丹田が我が本分の家郷である。その本分の家郷の消息はいかなるものか。この気海丹田が我が唯心の浄土である。その浄土はどのように荘厳されているか。この気海丹田が我が己身の弥陀である。己身の弥陀はいかなる法を説くのか〉

このように繰り返し繰り返し感想していくならば、やがて、一身の元気はいつしか腰脚足心に充足して、臍の下が瓢箪のようにふくらみ、皮で作った硬い蹴鞠のようになる。このような感想を1週間ないし3週間続けるならば、それまでの五臓六腑の気の滞りや、心気の衰えのための冷えや汗、疲れといった症状はすっかり治るであろう。もし治らなければ、老僧(わし)の首をやってもよろしい。」

 

以上、引用させて頂きました。

これだけの内容を理解して、そらんじることはかなり難しいと思います。

何年も前からずっと気になってました。しかも、否定語だったりするものだから、訳す先生によってはそのまま、ではない。と言い切ってる解釈もあります。

ここのところが肝のはずなのに、すごく難解で手ごわいというのはどうしてでしょう?

だから、夜船閑話は隻手の公案みたいに白隠さんの仕掛けか何かかな?

なんて考えて悩みました。

箇条書きにしてみました。

 

一番目に、本来の面目の面貌はどうだ。

     どこに家郷があるか。

二番目に、我が己身の浄土である。

     浄土は荘厳である。

三番目に、己身の弥陀でもある。

                  弥陀の法は何であるか。

 

ますますわかりません。

わたしは、以前、この部分を『呼吸菩薩』と名付けて(南無呼吸菩薩。南無呼吸菩薩)とだけ唱えることにしていましたが、釈然としません。

肝心な部分が意外に難しくて未消化な思いをかれこれ30年程引きずってきました。

最初に夜船閑話に出会った時からずっと気になっていたと言ってもいいくらいです。

結論から申し上げるならば、そこのところを解決したから、観世音体育の誕生と言うことになるのですが、今回は、文字数もかさみましたので、続きは次回にたします。ごきげんよう。さようなら。

 

 

はるかぜ鍼灸接骨院👇

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No10.『五観の法』実践その1

 

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立ち姿勢

五観の法の立ち姿勢は、今まで説明してきました、観世音マーチの立ち姿勢と全く同じです。

観世音マーチの場合は、歩き回る事もあるから、その時はさすがに脚を揃えていただきたいですが、五観の法の時は、肩幅に軽く広げたままが理想です。細かいことを言えば、足の指先は、少し内側に向けてください。出来たらその足の指で大地をわしづかみにしてほしいです。

自然に、足裏の前方3分の2程に重心がくるはずです。

かかとが軽く浮くか浮かないかがいい感じです。

この立ち姿勢は武道的にはナイファンチもしくはナイハンチと言いますが、気功でもこの立ち姿勢が基本です。

 

観世音マーチの時と同じように、かんぜーおん。なーむーぶつ。と声に出して唱えますが、今度はマーチではありません。マーチの時との違いは、リズムです。

頭にポクポクポクポクとつけてから唱える読み方が、観世音マーチなんですが、

こちらの五観の法では、ポクポクポクポクがありません。

じつは、

お経を読む時のリズムにはおよそ二通りのテンポがあります。

鳴らし物と言われる仏具の木魚や木柾を叩いてリズムを合わせて読む場合と、そういった鳴らし物を使わずに読む方法です。大勢で読む場合は、木魚に合わせて読まないとバラバラになってしまいます。

自分だけで、棒読みの感じで読むのには木魚は必要ありません。

説明だけではわかりにくいので、いつか音声で説明します。

 

 

 

リズムは、異なりますが、観世音には違いありません。

どんな時でもかんぜーおん。変わらずここでもかんぜーおん。なーむーぶつ。

これさえ唱えていれば、ここがすなわち極楽浄土に早変わり。スイッチオンになること請け合います。そうしておいて、

気功体操の動きが始まりますから順を追って説明します。

 

 

1)延命十句観音経の木魚無しの棒読みパターンで始めます。

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腰を納めておへそを縦にする。脚は肩幅でナイハンチ。

 

 

 

 

2)棒読みしながら

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両手を前で組む。右手と左手を包むようにあわせる。これを叉手(しゃしゅ)とい言います。

 

 

 

3)棒読みしながら

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ゆっくり両腕を前に持っていきます。

大木に抱きつく様にします。

站樁功(たんとうこう)とか立禅とかいうポーズです。

大木の生命力を感じながらの観世音、南無仏。

 

 

 

4)棒読みしながら

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ペースはそれこそ文字通りのマイペースでお願いします。

ゆっくり、ゆっくりがいいですよ。

 

大木を抱えていた両手の手のひらを大地に向けてください。

いよいよ大地の気を感じていただきます。

 

 

 

5)棒読みしながら

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大地の気を感じながらその手をグゥーっと下に伸ばしていきます。

手のひらと大地の押しくらまんじゅうです。

 

 

 

6)棒読みしながら

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次に両腕をま横まで持っていき、そこで左右に伸ばしてください。

左右から引っ張られてる感覚です。

 

 

 

 

 

7)棒読みしながら

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頭上に両腕、両手を掲げます。

手のひらを天に向けたら天の気をいっぱい受けましょう。

地の気、天の気、を大事に頭上で玉にします。

 

 

 

 

 

8)棒読みしながら

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白隠さんが白幽子に語らせている、軟酥をイメージしてください。

バターか、あるいはとろけるチーズの丸いボール状のものをイメージします。

非常に香りの良い乳製品を酥というらしいです。

これが頭の上に乗せるとじわじわ溶け出すのです。

 

9)棒読みしながら

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溶けて身体に染み込んで行きます。大変気持ちがいいなぁと思ってください。

 

 

 

 

10)棒読みしながら

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身体の中を通りねけた酥なる物質は今度は辺り一面に流れ出て、この世界全体を包み込んでしまいます。酥の海に膝から股関節、胸、首、頭と浸されていきます。ちなみに溺れることはありません。

都合良く出来てます。^_^

 

 

 

 

 

11)棒読みしながら

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ふたたびこの酥なる物質をかき集めて、

大きなボールを作ります。大きくしたり、小さくしたり、

横に振ったり、ハンドルの様に動かしたり、酥なる物質、これこそが気の実体です。練りに練ったこの尊い気を丹と言います。仁丹製薬の名前の由来の丹です。

 

 

 

 

12)棒読みしながら

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さぁ!この練りに練った丹は練丹となってパワーアップしてしていきます。この練丹を大事に大事におへその下約1.5寸(約3センチ)の気海(きかい)というツボに納めていきます。下腹からじわっ〜っと充実感がみなぎってくるはずです。

この時のポーズは両腕、両手を叉手にしています。すなわちスタートに戻ったわけです。

叉手しているあたりは、臍下丹田とも、気海丹田とも呼ばれています。

丹田はヨガではチャクラと呼ばれるところです。

以上が、五観の法の前編です。

最後の最後に締めくくりのクライマックスが待っていますが、まずはここまでので動きをマスターして欲しく思います。

今回、はるかぜ鍼灸接骨院の柔道整復師のKさんにモデルになってもらいました。

古武道や総合格闘技をやっているので型が決まってますね。Kさんありがとう^_^。

今回はこれで終わりです。

 

はるかぜ鍼灸接骨院↓

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NO9 夜船閑話と中国医学

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夜船閑話を読んでみる

夜船閑話という読み物の中で、白幽子という仙人に語らせている内観、軟酥の法というのは、主に中国医学の基礎医学的な部分。またその基礎医学以前の自然哲学から始まる東洋哲理などのとてつもなく膨大な中国三千年の文化を、子供が喜ぶ絵本でも読み聞かせる様に白隠さんは易々と楽しげに表現してくださいました。それがこの夜船閑話の凄さでもあり怖さでもあります。

 

誰がいつの時代に読んでも楽しめる。それが江戸時代の町人や百姓たちでも、名だたる藩の大名様でも、平成、令和の私達だとしても、皆すんなりと合点がいってしまう。そんな不思議な読み物になっています。

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中国三千年の歴史が生んだ、中国医学は、この悠久の時を経て、中国三大思想。儒教、道教、仏教の影響を受けながら熟成されてきました。

 

中国古典の代表的な文献には、易経があります。易とは変化という意味があります。俯瞰して見れば中国の歴史は、政治も、思想も常に変化してきました。

易経は、時代と共に、儒教文化の中で尊ばれ、また、道教的にも親しまれ、仏教者にも愛されて今日いよいよ世界中で読まれています。

それと共に、医学書の古典は黄帝内経です。黄帝という架空の帝王と、その方が師と仰ぐ岐伯との間で問答形式で繰り広げられる陰陽五行の中国医学の解説書で、原点に位置づけられる古典です。

しかし、これらの古典を読みこなし自らの生活に生かす事は容易ではありません。

白幽子の話には、易経や黄帝内経のわかりにくいはずの理屈が、何故か身近で実用的に面白くかかれてかます。

 

病気の成り立ちや、状態を易の八卦になぞらえて説明していますが、それによって、小難しいだけの学問が、生命力のある生活の指南書になっています。

本文は短い文章ですが、白隠マジックが、全編にわたって施されています。

そんな、わかりやすさとは裏腹に膨大な内容を有する夜船閑話を味わい深く読みこなすのに、手助けになる本を紹介します。

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健康法としても、禅の理解からも、学問的研究としても参考になる本が新井荒雄さんの『夜船閑話』白隠禅による健康法

です。

新井荒雄さんは

仰臥禅(ぎょうがぜん)という心身の健康法を確立し昭和から今日にかけての白隠研究の草分的存在です。仰向けに寝転んで行う呼吸法として内観の法を紹介しています。

 

 

荒井荒雄著

夜船閑話  白隠禅による健康法

大蔵出版

 

もう一冊、現代医学の病理や生理をも交えて健康法としての夜船閑話を三枚おろし?しているのが、この本です。

 

木村弘昌著

医僧 白隠の呼吸法

「夜船閑話」の健康法に学ぶ

です。

ドクターであり、禅の修行者でもある作者は内観の法による呼吸法の心身に及ぼす効果を徹底的に研究していす。

とくに、ひさご丹田呼吸法なる健康法を夜船閑話から学ばれたのだと思います。

ブログ著者は、白隠禅師を『医僧』としているところを嬉しく思います。

 

 

 

さて、おんなじ夜船閑話をヒントにしているにもかかわらず、新井荒雄さんは、寝てやる禅だと、仰臥禅を世に問い。

木村弘昌医師は、ひさご丹田呼吸法を導き出されています。

そして今回観世音体育のわたくし、あえて怪しげなペンネームで申し上げれば、やたらくたろうめは、かんぜーおんとか唱えながら、足踏みするとか、気功体操をするとか、何言ってんだか分からない人には全くもって、ちんぷんかんぷんなこと言って世間を騒がせています。まだ世間を騒がせる程に読まれてないけど、このブログ…。

でもそれって仕方ないんです。

みんなそれぞれ表現なんて自由です。

問題は白隠さんが詰め込んだこのとてつもない世界をどれだけ楽しく自分のものにしているかが大切です。

また、方法に関してはこの夜船閑話の中には事細かに書いてあるわけではありません。

寝てやるものだともとれますし、

座禅のように坐してやるのも正しいと思います。

 

立ち上がり、歩き出す。これは人類の進化の過程においても、夜船閑話の解釈においても必然だった気がするのです。(笑)

 

 

 

次回から、実践編ですよ~。

いよいよ観世音体育第2部

五観の法の具体的動きを説明していきます。

 

 

 

No.8 第2部 五観の法の解説

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いよいよ第2部に入ります。

第2部を『五観の法』としました。

五観の法というものが昔からあったわけではないので、筆者が命名させていただきました。 

とは言うものの、世の中に、全く新しい発明なんてあるのでしょうか?

例えば発明を特許だとします。全くのゼロから生み出されたものとします。

その場合、特許なんてそうそう簡単に出来るものではありません。

 

今回発表させて頂く、五観の法も、数ある気功法の亜流です。亜流とはひとぎきが悪いので、改良版と言いましょうか。

特許で言えば、実用新案です。

最近の表現を使うなら、イノベーション。健康イノベーションというわけです。

 

第2部は、『夜船閑話』著者白隠をベースにしています。

No.3でサクッと『夜船閑話』のことや白隠さんの事など説明はしましたが、酔っ払いの立ち話みたいに、資料も裏付けも無く、薄〜い記憶力だけで、図々しくもご紹介しました。やはり今回、『夜船閑話』をベースにした第2部、五観の法を発表するにあたって、たまには賢い文章も読んでもらいたいと思います。

 

幸い、著者の出身校でもある花園大学で長らく教鞭を取られた、白隠研究の第一人者、芳澤勝弘(よしざわかつひろ)先生の白隠フォーラムを受講する機会がありました。そこで、学問的研究というのは大変おもしろく、また手強い世界だと知りました。それと同時に、無知ほど罪な事は無いということも思い知ることができました。

ここはひとつ、この先生のお力をお借りします。

 

教養に飢えた読者の為に、芳澤勝弘先生の『白隠』禅画の世界 角川ソフィア文庫から"白隠の略伝"の部分を引用させて頂きます。

 

(以下引用文 )

白隠の略伝

白隠の生涯の行履(あんり)をまとめたものに『神機独妙禅師年譜』(以下年譜)がある。白隠の弟子である東嶺円慈(とうれいえんじ)1721〜1792が書いた草稿をもとに、東嶺の弟子である大観文殊(だいかんぶんしゅ)が編集しまとめたものである。

これとは別に、白隠自身の記録もある。白隠ほどみずからの生い立ちや生涯を語った禅僧はほかにいないだろう。自伝というべきものもいくつも著している。もっともよく知られるものが『夜船閑話』である。これは五十七歳(以下年齢は数え年)の時に書かれた『寒山詩闡提記聞』(かんざんしせんだいきもん)の中の自伝的部分のみを、のちに仮名法語にしたものである七十七歳のときには『策進幼物語』(さくしんおさなものがたり)を、そして、最晩年、八十二歳のときには『壁生草』(いつまでぐさ)という自伝を書いている。(中略)

白隠は貞享(じょうきょう)二年(1685)12月25日、駿河国駿東郡原宿(現静岡県沼津市)の長沢家に生まれた。幼名を岩次郎という。三男二女の三男であった。生家は沢瀉屋(おもだかや)という問屋(といや)であった。(中略)

 

生家の長沢家の周囲には、「東海道分間延絵図」で見るだけで三つの寺がある。

長沢家に隣接して時宗の西念寺、西には日蓮宗の昌原寺、東のほうには、のちに白隠が住職することになる臨済宗の松蔭寺があった。ともに、白隠に深く関わった寺である。

日蓮宗の昌原寺は長沢家の菩提寺であった。長沢家はもとは、甲州身延の長沢村(現山梨県南巨摩郡富士川町)の出身といわれ、大石寺(現静岡県富士宮市)開祖日興上人1246〜1333に帰依する熱心な日蓮宗の信者であり、禅師の母は特に信仰の篤い人であった。また、禅師の父は、

もとは伊豆の杉山氏で、松蔭寺を中興した大瑞宗育(だいずいそういく)和尚?~1660の甥にあたり、大瑞和尚の世話で長沢家に婿入りした人である。 

 

(引用終了) 

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以上、芳澤勝弘先生のご著書『白隠』禅画の世界からほんのさわりだけご紹介させて頂

きました。白隠さんの禅画の魅力を学問的に研究することにより偉大な禅僧の世界観を

見事に解き明かした名著です。興味ある人はお買い求め下さい

    ******************

はい、ご無沙汰しました。またブログの主が帰ってまいりました。

No3での著者の説明がいかにでたらめだったかよくわかりますね。学術的な研究者と、

白隠さんが趣味だ〜。なんてレベルの人間の 知識量の差なんで仕方ないと諦めてくださ

い。

 

そんなわけで、No3のブログも修正しないでそのまま残しておきましょう。

著者も、齢64歳でございますが、良い経験をさせていただいております。しらなかっ

たり、勘違いしていることをあらためて覚えることはとても楽しみです。ブログを書き

ながら、読者の皆様と一緒に学んでいきたいと思います。

 

今回はここまでです。

ありがとうございました。

引き続きよろしくお願いします。

No.7 観世音マーチ実践その2

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立ち姿勢ができたら、そこから足踏みを始めます。

肩幅程に脚を開いていると、持ち上げるより、つま先を残す感じでリズムを取るのが楽かと思います。

 

程々やったら次は、歩いてみましょうか。

そのままでは、歩きにくいので、両脚を揃えて歩き易くしてから、大きく足踏みをしてください。

 

動中の工夫は静中に勝ること百千億倍す

 

上記も白隠さんの言葉です。

修行は、坐禅ばかりではありません。食事を作ることも、庭掃除も、風呂に入る時迄もすべてが修行だと教えています。

 

だからって訳ではありませんが、観世音マーチの実践は動中から何かを見つけるには良い機会だと思います。少なくともきっかけくらいにはなるでしょう。

 

お坊さんの修行は、厳しそうだから、このブログ内で深入りするのはやめましょう。

観世音マーチはずっと簡単です。気楽にやってみてください。

観世音マーチは、

立ち姿勢がお約束通りに出来ていれば、それだけで完璧だと言えます。

とにかく、腰を納めて、おへそのカタチをタテにする事をお忘れなく。

 

そのまま足踏みすれば完成というお話でした。

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蛇足

このブログのサブタイトルに

"白隠さんが教えてくれた・・・"

とありますが、白隠さんが観世音マーチの方法を事細かに伝授している訳ではありません。あしからず。

『観世音マーチ』と後半の『五観の法』は、令和のイノベーションです。

及ばずながら著者のオリジナルです。

白隠さんの『かな法語』二冊と、著者の30年の東洋医学をなりわいにして来た医僧としての社会との関わりの中で当然のごとく生み出された、鬼子のような存在です。

鬼となるか、蛇となるか、上手く育って皆様の健康生活のお力になるかは今はまだ分かりません。

今日はここまでです。

ありがとうございました。

 

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No.6 観世音体育の実践

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観世音体育は2部構成です。今回お伝えしているのが、第1部、足踏みしながら延命十句観音経をテンポよく唱えるものです。

 

いつの時代も私たち人間は、心に悩みを抱えて生きています。また日常のストレスからか、いつもイライラしていて、感情的になりやすいようです。明らかに心身ともに疲労しているのでしょう。

そんな現状を少しでも改善する方法があるならば是非実行してみたいというご要望にお応えして、満を持して登場したのが観世音体育であります。

第一部の観世音マーチを行う上で、

1、声を出す。

2、体を動かす。

この2つを特に心がけてください。場所や状況にもよりますから、大きな声が出せない時は、つぶやく程度でも良いし、念ずるだけでも良いと思います。足踏み、腕振りも、その場で許される範囲でやってください。

 

副作用の無い頓服みたいなものだからずっと続けて良いです。むしろその方が良い結果が得られます。何より心に効く。そして身体にも効くんです。

 

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心身一如の運動法

観世音体育は身体にも効くんです。

今日は、そのことをお話します。

 

 

観世音体育の実践編(身体への影響)

 

立ち姿勢

観世音体育の実践として、基本姿勢を習得してください。

 

まず両足を肩幅くらいに開いてください。

両足首の力を抜いて、次に両膝の力を抜いていきます。全部抜いたら立っていられませんから程々にお願いします。

両足首、両膝と緩め、両股関節も緩めます。

両股関節が緩むと格闘技の前蹴り、側刀蹴り

などの技も出し易くなります。

 

 

東洋武術も東洋医学もその始まりは同じ起源に由来します。中国3000年とも4000年とも言われるリアルな歴史の変遷が育んだ実学あり、ロマンでもあります。

話が逸れて行きそうなので、それはさて置き、

立ち姿勢に戻ります。

 

 

両脚を全体に緩めて立つ事が出来たら、次に骨盤を意識してください。お尻のほっぺたにえくぼを作る感じにしてください。品の無い表現は個人的に好きでは無いのですが、尻の穴をギュッとしぼめるのがコツです。

観世音体育では、この骨盤の状態を、"腰を納める"と表現しています。

そして''おへそのカタチをタテにする"のがコツです。

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この写真のT子さんは70代の女性です。

ビフォー、アフターみたいになってますが、この写真の場合は、そういうたぐいのものではありません。

何故なら、上の写真から下の写真の間はわずか10秒程であり、施術はしていません。ただ一言

 

 「腰を納めて、おへそのカタチをタテにしてみましょう!」

と、申し上げただけで、この通りです。

インナーマッスルがしっかり効いていますから肩の力は抜けています。とくに頑張らなくても、前屈みは解消しました。

もうひとつ良いことは、この状態は姿勢改善と同時にインナーマッスルのトレーニングにもなっていることです。インナーマッスルは地味な持続的運動で時間をかけて鍛える必要があります。

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T子さんありがとうございました。

前回2019.12.02にいらした時に、最近歩く格好が悪くなったと気にしてましたが、本日2019.12.19の立ち姿勢は明らかに改善しているように思います。

これからも、観世音体育で健康生活を楽しんでください。

(令和1年12月19日の埋め込み記事)

******************

 

皆さんはいつもご自分がどんな状態か意識したことがありますか?

多くの人は普段おへそが横にべちゃーと潰れたようになってるんじゃないかな?

そうすると、背中も腰も曲がったままになってしまいます。内蔵は圧迫され呼吸も浅くなりがちです。

もう一度復唱します。

腰を納めて、おへそのカタチをタテにする。

忘れないでください。かんぜーおん。なぁむーぶつ。を唱える時は、同時に、腰を収めておへそのカタチをタテにする。のです。

これは、ベル反射のような条件反射にしてしまうのが理想です。

何が良いかと言えば、この姿勢はインナーマッスルを使っているのです。

インナーマッスルとは深層部の筋肉です。

腰のインナーマッスルと言えば、代表的な筋肉で大腰筋、腸骨筋、腹横筋、骨盤底筋群

等がありますが、普段は、なかなか鍛えにくい筋肉です。そのために、アウターマッスルとのバランスが崩れてしまい、そのことが慢性腰痛に関係することが最近分かってきました。インナーマッスルはアウターマッスルのように鍛えてすぐに結果の出る筋肉ではありませんが地味な努力で鍛えることが可能です。

 

腰を納めて、おへそを縦にする意識がインナーマッスル強化につながります。

インナーマッスルをうまく使う観世音体育の第一部、観世音マーチは、加齢とともに曲がった腰にも良いし、産後の骨盤底筋群の問題も解消できる可能生のある素晴らしい方法です。 

 

かんぜーおん。とやり出すと同時に腰が収まり、おへそが縦になるように、考えなくても体が反応するように、いつでもどこでもかんぜーおん。続ける事が大切です。

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No.5. だから悩みを軽くする薬  

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悩みとの付き合い方

 

「一晩、とことん悩み尽くして、明日からまた元気出して行こう!」

 

今、ひどく悩んでいるとして、意を決して上記の様に結論づけたとします。

これ賢明な判断だと思いますか?

 

無理ですよね。客観的に見て、心労に身体的疲労まで重なって、いよいよ袋小路に入って行くのが目に見えています。

 

人はこころが苦しい時、大きな声でため息を吐いたりしますよね。

ああじゃない、こうじゃないと、こころの中で模索しながら、ハフ、ハフと空気も一緒に吸い込んでいるのです。いよいよ苦しくなって、一気に吐き出さなければならなくなるのが、列の大ため息です。

 

筆者は二代目広沢虎造の浪曲が三度の飯より好きだった時代があるのですが、浪曲の中では、"ため息は、命を削るカンナという"

なんて言います。ため息は、命を削るカンナですよ。ため息はつかないに越したことはありません。

 

さて、具体的には、ため息は呼吸の問題ですよね。呼吸の呼(こ)は吐く息の事です。呼吸の吸(きゅう)は吸う息だよね。当たり前だけど、読んだ順番から言えば、まず吐く訳です。

昔の人はポイントちゃんと押さえてますね。

 

まず吐きだして空っぽにしましょう。例えば100円ショップで買ってきたスポンジのタワシをギューッと握って離したらどうなりますか?

一瞬に元の形に戻ります。

東洋医学の根本はここのところです。

呼吸と東洋医学。そして自律神経の話しは、いずれ丁寧に触れていくとして、吐く息を意識する呼吸法を簡単に出来る方法をご紹介します。

 それは、

延命十句観音経を、ひたすら唱え続ける事です。

今までで生きてきて、いろんなお坊さんにも会ったけど、誰もがみんな、お経は吐く息で読んでいました。未だかつて吸う息でお経を読む器用なお坊さんには会った事がありません。

お経を読む事を仕事にしているお坊さんでも、お経は誰もが、息を吐きながら、お腹の筋肉を使って朗々と堂々と読んでいらっしゃるのです。

 

"長息(ながいき)は長生きに通じておるのでございます。"

 

ってな感じで坊さんなら何度か使った覚えのあるフレーズです。

だからお経を読むときに、吐く息だ、吸う息だと意識する必要ありません。自然にうまくいっています。

只々、延命十句観音経をお唱えしましょう。

 

延命十句観音経は動中のお経と言ってもいいのではないか。と前回のブログで発言させて頂きましたが、今日はその事に触れて行こうと思います。

 

お経を読む時、木魚を叩いたり、木柾を叩いたりしながら読む事もあるし、そうした鳴らしもを使わずに流れるように、しなやかに読む方法もありますが、まずはリズムに合わせて読んでみましょう。

 

一般には、木魚も木柾も無いのが当たりですから、まず最初、『ポク、ポク、ポク・・・』と声に出して言ってください。

それに合わせて、腕を振って、足踏みもしてみてください。

さぁ、そのままお経を続けましょう。

 

かんぜーおん、なーむーぶつ。

よーぶつうーいん、よーぶつうーえん・・・

 

その場で足踏みしながら、延命十句観音経を唱えてください。

誰でも出来る、観世音体育のとっても大事な

運動の半分をご紹介しました。

この運動が、気功で言えばスワイショーにあたります。

 

これが、悩みを一人歩きさせない為の秘伝です。

人は、誰でも悩みます。お腹の中に、腸内細菌を養っているのと同じく、頭の中には悩み癖という厄介な生き物が生息しています。

これを野放しにしないコツが、

1.声を出すこと。

2.身体を動かすこと。

同時に行う、観世音体育を行えば、悩みと上手く付き合うのには最適だという事に気付いてもらえたと思います。

 

 

もう一度、おさらいです。

 

観世音体育の基本動作

その場歩行でも、本当に歩いても構いません。

腕も大きく振っても、小さく振っても構いません。

足の上げ方も自由です。

ポク、ポク、ポク。

かんぜーおん、なーむーぶつ。

と大きな声を出しても、小さな声でもいいですから、身体の動きに合わせて、とにかく、延命十句観音経を唱えましょう。

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白隠さんお勧めの延命十句観音経は、ありがたいお経ではありますが、そのまま飾って置いたら、薬の効能書き程度の影響力しかありません。普通にお寺の本堂や、お仏壇の前で読んだとしたら、まぁそこそこのご利益はあるでしょう。でも白隠さんが言うような霊験あらたかな薬で言えば特効薬の様な効果は期待できないでしょう。

筆者の経験では、血圧の薬か、逆流性食道炎の薬みたいに、ずーっと飲んでいるけど、効いてるのかしら?くらいのものだと思います。

 

ところが、ところが、足踏みしながら声出して唱えてもらったら分かります。速攻効果ありです。

悩み疲れたあなた、今すぐ足踏みしながら、かんぜーおんですよ。ほら頭で悩むだけじゃなく、身体使って声出して、あちらやこちらに意識分散するだけで、少し楽になってくる感じわかりませんか?

 

コンビニやスーパーでレジ待ちしてたら、隣のレジにスタッフが入って、すばしっこいやつに先越された。あれ?なぜ俺じゃ無いの!なぜ順番守ってくれないの!イライラ❗️

なんて事も正直今まででに何回もありました。そうですこれは筆者の実体験です。慌てん坊でそそっかしくて、短気で軽薄な人間でした。今までは・・・

でも、いま違います。レジ待ちしてる列の中に、足踏みしながらかんぜーおんとブツブツ唱えてる、齢六十過ぎの初老のおじさん見かけたら、それは今のところ私しかいないはずです。

気楽に声をかけてやってください。

おかげで、もはや悟ったような心境です。

凄いでしょう。

 

 

間違わないで欲しい事

ところが皆さん。ここで勘違いしないでくださいよ。

本物の悟りを得た人と悟ったような気分になっている人とは違うんですよ。本当に悟りの境涯を得た人を筆者は何人か知っていますが、皆さんとても一筋縄ではいかない徹底した修行を何十年も道心堅固に貫いて来たればこその現在の境地です。

 

筆者が悟ったような効果ありと申し上げているのは、あくまで、足踏みしながらかんぜーおんとブツブツ言っている時だけの効果の話です。あしからず。

でもね、それでもこれは凄い事だと筆者は思うのです。

 

この薬はまったくもって正真正銘の特効薬です。しかし、だからこそ、薬で言えば頓服です。飲んだ時しか効きません。

白隠さんもそれを承知で、いつでもどこでもかんぜーおんを絶えず唱えているようにおっしゃっているのだと思います。

安心してください。どうやらこの頓服は幸いな事に、副作用が無いらしいです。

 

むしろ、頓服による今だけ効果の悟りでも、例えば、あすなろの苗木のようなものであったとしても

生活の中でとにかく、いつでも、続けるならば、いつか立派な杉の木にならないとも限りません。

副作用がないんだから安心してこの頓服を飲み続けてみましょうよ。

 

そんな風にして続けることで、ようやく白隠さんの慈悲の心に触れられるような気がします。

今日はここまでです。   合掌

 

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